逆打ちから始めた遍路。
友だちに誘われて高知県の足摺岬の金剛福寺に行ったのがきっかけで順番がアトランダムになる。
44番大宝寺から56番泰山寺までバスツアーで行き、愛媛県は残り3カ寺だけになっていた。
オトーが暇だから一緒に行ってあげるという。
今治市内に入ってすぐに駐車場に車がたくさん停まっている蕎麦屋を見つけた。
「あんなに人がいっぱい入っている店なんだから美味しいにちがいない」と見当をつけて入ったのに、注文したざる蕎麦が超まずかった。
「愛媛県の人は本物の蕎麦の味を知らんのか」とオトーがぼやく。
私はかやくご飯と小鉢のついたざる蕎麦定食を注文したのだが、ざる蕎麦以外はわりとおいしかった。
蕎麦屋なのに肝心の蕎麦がまずくて、それでも行列ができる店ってどういうこと???
そもそも、オトーが私の遍路に付き合うのは、どこかでおいしいものを食べようという魂胆からなのだが、初っ端から出鼻をくじかれてしまった。
妻の遍路の旅に便乗して、美食の旅にと企んだ罰なのか。
味気ないランチを終えてから、第57番札所永福寺に到着。
このお寺の住職は、ほぼ日に「ボクは坊さん」というエッセイを連載していて、
映画にもなったことで有名なのだとkenから聞いていた。
なるほど、納経所には「ボクは坊さん」こと白川密成氏の本が並べられていた。
参拝を終えて駐車場へ行くと、オトーが「あんたの後から来た人は、みんな先
に帰った」と言われる。お参りが遅いという皮肉。
そこから3キロほど離れた仙遊寺まで、山道を登って行く。
くるみは山道が苦手なので、後ろの座席で抱っこする。
仙遊寺は標高300mあるので、お寺から下界の眺めはすばらしい。
私が参拝しているあいだ、オトーは境内を散策。
太子堂でお灯明をあげていると後ろから「ここには旅館がある、温泉がある」と嬉しそうに言う。
早く早くとせかされるので、お経もそこそこ切り上げてきたのにとムッとする。
第59番札所 国分寺
なにはともあれ、無事に3ヵ寺参拝を済ませられたのはオトーのおかげ。
ありがとう。そしておつかれさま。