姉が鬼柚子を持ってきてくれた。
びっくりするくらい大きいのでびっくりした。
どれくらい大きいかというと、これくらい。↓
マーマレードを作ったらいったいどれくらいの量になるんだろうと思いながら切ってみた。
へっ、これだけ?
実の大きさは普通のものとあまり変わらなかった。
10年有効のパスポートの更新時期が迫っているので、オトーと一緒に更新手続きに行った。
事前に書類をもらって記入してから持ってくる人もいるようだけど、私たちは役所に備えてある書類にその場で書いた。
すべて記入し終わって提出すると、職員が確認のため住民基本台帳と照らし合わせている。
「あのう、この年齢、間違ってませんか?」
と不審そうに首をかしげる。
メガネをかけなおしてよ〜くみたら、「38歳」と書いてある。
67歳なのに、なぜこの数字?
3も8も合ってない。
そもそも、67歳の老人が10年有効のパスポートなど必要か?
物忘れが年々ひどくなっているのは仕方がないとしても、自分の年をここまで間違えるなんて。。。
まわりに人がいるにもかかわらず、思わず笑ってしまった。
職員もつられて笑っているけど、「こんな年寄りがいるから念には念を入れて確認しなければいけないのだ」と舌打ちしているかもしれない。
チャンチャン。
ジムへ行く前の午後1時と、運動を終えたあとの3時半に病院へ行った。
意識があるのかないのか、父はぐうぐう寝息をたてて眠っている。
看護師さんの呼びかけには反応するけど、私が呼んでも無反応。
ベッドの柵を握っている父の手を触ってみる。
冷たい。
看護師さんがひげそりを持ってきてください、というので、家にあったものを持っていった。すると、電気カミソリの方がいいでしょう、という。
確かに、髭を剃るとき石鹸やシェービングクリームを使うと、洗面器もいるしタオルもいる。
自分が使ったことがないからそこまで気が付かなかった。
実家に父が使っていたものがあるはずなので取りに行く。
ちょうど兄がいたので、ひげ剃りの在り処を尋ねたがわからないという。
一緒に暮らしていても、日常の生活の細々としたあれこれを、いちいち把握しているわけではないのだ。それはそうだろうとおもう。
兄が、時間があるならコーヒーを飲んでいけという。
コーヒーを飲みながら、子供の頃のよもやま話をする。
三人姉兄の末っ子であるわたしは父から疎まれていたらしい。
長女の姉と長男の兄に対しては普通に接していたけど、なぜか父は私に冷たく当たっていた。
長女とは5歳の年の差があり、兄とは1歳違いの年子である。
最初に生まれた女の子と、跡継ぎとして生まれたの男の子。
そのあとに生まれた私は、いわば鬼っ子なのだ。
父から可愛がられた記憶はまったくない。
それどころか、ビービーとよく泣く私を父は怒ってばかりいた。
私の記憶にはなかったが、そのことは兄と姉から聞かされて知った。
確かに私はビービーとよく泣いた。
泣いては叩かれ、叩かれては泣いた。
兄にいじめられて泣いた。
でもまあ、そんなことは誰にでもあることだから、と恨みもせずに今日まで生きてきたのだが、一つだけ、どうしても納得できないことがある。
それは自分につけられた名前。
姉と兄の名前は漢字なのに。なぜか私だけカタカナなのだ。
いつだったか父から聞いたことがある。
出生届を役所へ出すとき、漢字で届けをだそうとしたけど、当用漢字にない字だったの受理されなかったと。
それなら、敦子でなくても淳子でも温子でも厚子でも、いくらでも漢字の名前があるではないか。
それすら思いつかなかったというなら、せめてひらがなにして欲しかった。
と、こんなことを思い出したのは、還暦をすぎてから。
子供の頃からずっと自分の名前がきらいだった。今から考えてみると、自分の名前がきらいだったのは、そんな親への反発だったのかもしれない。