ひだまりの中で

日々のできごと。

してはいけないこと

 夏に植えた昼顔(オーシャンブルー)が枯れて汚くフェンスに絡みついている。
 脚立に乗って、剪定ばさみで伸びた茎をパチパチ切る。西側の陽の当たらない場所なので寒くて手が冷たい。足下が不安定なので、上段まで上がるとぐらぐら揺れる。
 このフェンスは、雷におびえたレオンが半狂乱になって犬小屋から脱走するので、仕方なく軒下まで届く高さにしてある。だから伸びた枝を切るためには軒下まで手を伸ばさなければならない。
 直径5センチほどの格子にきっちり絡みついた茎を剪定ばさみで切り取る作業は、かなり根気のいる仕事だった。でも、根気を要する作業が好きなので苦にならない。むしろ、少しずつ白いフェンスが元の形を取り戻していくのが気持ちよくて夢中でパチパチ切っていく。
 体の向きを変えるため、脚立の上で足を動かそうとしてふと気が付いた。手術してまだ3ヶ月しか経っていないことを。退院するとき、「退院後、注意すること」というパンフレットに、無理な姿勢をとらないことと書いてあった。
 もし、脚立が倒れたりしたら、と想像してみる。間違いなく人工股関節は外れるだろう。一瞬、その時の映像が頭に浮かぶ。
 急に恐怖に襲われて脚立から降りる。でもその時にはほとんど茎を切り終えていたので、ホッと胸をなで下ろす。