村上春樹の作品を読んだのは、たぶん、初めてだと思う。
「地元が舞台になっているから読んでみる?」とK野さんが言ったから借りてきたんだけど、案の定、読むのに少し苦労した。
でも、
「神様ってのは人の意識の中にしか存在しないんだ。とくにこの日本においては、良くも悪くも、神様ってのはあくまで融通無碍(ゆうずうむげ)なものなんだ。その証拠に戦争の前には神様だった天皇は、占領軍司令官マッカーサー将軍から『もう神様であるのはよしなさい』という指示を受けて、「はい、もう私は普通の人間です』って言って、1946年以後は神様ではなくなってしまった。日本の神様ってのは、それくらい調整のきくものなんだ。安物のパイプをくわえてサングラスをかけたアメリカ軍人にちょいと指示されただけでありかたが変わっちまう。それくらい超ポストモダンなものなんだ。いると思えばいる。いないと思えばいない。そんなもののことをいちいち気にすることはない」
っていうところにものすごく納得した。
義母が亡くなってから気持ちの中にあった宗教的なわだかまりが、ほんの少しだけ溶解したような気がする。
それにしても、図書館とかうどん屋とか、海や森、神社など、作品の中に出てくる場所がいったいどこなんだろう、なんて、かつて自分も小説を書いていたにもかかわらず、想像しながら読んでしまった。知っているような、知らないような曖昧な場所を想像しながら読んだのは、それなりにやっぱり面白かったんだと思う。