ひだまりの中で

日々のできごと。

柿の種

血液の化学成分は驚くべき精密さをもって恒同に保たれている。ちょっと労働でもして血液中の水素イオン濃度がわずかに一億分の一だけ増すとすぐ呼吸が忙しくなって血液中の炭酸ガスを洗浄させる。
人間の社会もこのくらい有機的になって、全系統の生理に有害なものを自動的に駆逐するような機巧が具わっているといいと思う。
現在でもある程度まではすでにそうなっているかもしれない。しかしこの調節作用を阻害するような病気があまりに多く、それに対する抵抗力があまりにも弱いのではないかと思われる。(岩波文庫 寺田寅彦著)一部抜粋
                

日常の中の不思議を研究した物理学者であり、随筆家としても有名な作家。
「なるべく心の忙しくない、ゆっくりした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という願いがこめられているそうなので、トイレの中で読むことにしている。